点検にいらしたお客様の車で、フロントガラスに小さな白い傷を見つけることがよくあります。「あ、飛び石ですね」とお伝えすると、たいてい「え、これ大丈夫なんですか?」と聞かれます。
正直にお答えすると、車のガラスの飛び石は、放置すると小さな傷がひび割れへと広がっていくことがあります。そうなると車検にも通らなくなり、修理費用もかさみます。この記事では、飛び石を放置する怖さと、今のうちに直しておくメリットを営業マンの立場からお話しします。
飛び石の小さな傷が、ひび割れに広がっていく理由

高速道路や砂利道を走っていると、前の車が跳ね上げた小石がフロントガラスに当たることがあります。この瞬間にできる小さな傷が「飛び石」です。
厄介なのは、できた直後は米粒ほどの大きさでも、そこから徐々にひびが伸びていくことです。原因は主に温度変化です。夏の炎天下や冬の暖房・デフロスターでガラスが急激に膨張・収縮すると、傷を起点にひびが走りやすくなります。走行中の振動や、洗車時の水圧も引き金になります。
小さいうちなら数千円〜で樹脂を注入して修理できることが多いのですが、ひびが伸びてしまうと修理では対応できず、ガラスごと交換するしかなくなります。
飛び石に気づいたら、傷口にほこりや水が入る前に、できるだけ早く点検してもらうのがおすすめです。放置期間が長いほど、ひびが広がるリスクも修理費用も上がっていきます。
飛び石そのものを完全に防ぐのは難しいですが、前を走るトラックや砂利を積んだ車との車間距離を広めにとるだけでも、被弾するリスクはかなり減らせます。高速道路での追従走行中は、意識してみてください。
また、洗車のときやフロントガラスを拭くときに、指先で軽くなぞって「引っかかる小さな凹み」がないか確認する習慣をつけておくと、飛び石をできたばかりの段階で見つけやすくなります。
視界不良という意味では、ガラスの傷だけでなくワイパーのゴムの劣化も見落とせません。拭き取ったあとにスジが残るようになったら、ゴムが硬化しているサインです。交換の目安はワイパー交換時期の目安と選び方にまとめています。
「前の車が跳ねた石が原因なのに、弁償してもらえますか」ともよく聞かれます。正直なところ、走行中に前の車が跳ねた石が原因だと証明するのは難しく、相手を特定できても弁償してもらえるケースは多くありません。実務上は、自分の車両保険で対応するのが現実的です。傷を見つけた直後の応急処置としては、市販の飛び石補修用の透明シールなどで傷口をふさぎ、水や汚れが入らないようにしておくと、修理に持ち込むまでの間にひびが広がるのをいくらか抑えられます(あくまで一時しのぎで、根本的な修理は別途必要です)。
ひび割れを放置すると車検に通らない

フロントガラスは、保安基準で運転者の視界を妨げないことが求められている部品です。運転席から見える範囲に大きなひび割れがあると、車検に通らないことがあります。
車検の直前になって「ひびが原因で通らない」と分かると、慌てて修理業者を探すことになり、時間にも余裕がなくなります。車検を受ける前に、早めにガラスの状態を確認しておくと安心です。
ディーラー車検やカー用品店の車検では、事前点検の段階でガラスのひびを指摘されることもあります。ただし「これくらいなら大丈夫だろう」と自己判断してそのまま持ち込むと、当日に追加で修理・交換の費用が発生し、想定より出費がかさむケースも少なくありません。事前に自分の目で確認し、気になる傷があれば車検の予約前に相談しておく方が、結果的にスケジュールも費用も落ち着いて管理できます。
「保険で直せますか?」ともよく聞かれます。車両保険(一般型)に加入していれば、免責金額によっては修理費用をカバーできることがあります。ただし保険を使うと等級が下がり、翌年以降の保険料が上がることが一般的です。数千円で済む小さな修理なら、保険を使わず実費で直したほうが結果的に安く済むケースも多いので、修理費用と等級ダウンの影響を見積もりの段階で比べておくと安心です。なお、ADASの機能がない車のガラス交換は、キャリブレーション費用がかからない分、部品代・工賃を含めても数万円程度に収まることが一般的です。
衝突被害軽減ブレーキ搭載車は、交換費用が15万〜20万円になることも

ここ数年の新車には、衝突被害軽減ブレーキが標準装備されていることが多くなりました。このカメラは、実はフロントガラスのルームミラー付近に内蔵されています。
この手の車種でガラスを交換すると、カメラの向きを再調整する「キャリブレーション」という作業が必須になり、部品代・作業費を合わせて15万〜20万円くらいかかるケースもあります。普通のガラス交換より高額になりやすいのは、このためです。
キャリブレーションがずれたまま乗ると、衝突被害軽減ブレーキが正しく作動しない可能性があります。ガラス交換をした後は、必ずディーラーや専門業者でカメラの調整まで行ってもらってください。
- 衝突被害軽減ブレーキの仕組みと「作動しない条件」 — カメラの仕組みをもっと詳しく知りたい方はこちら
- 車検で落ちやすい項目と、事前にできるセルフチェック7つ — ガラス以外のチェックポイントもまとめています
修理と交換、どちらになるかの目安
「これは直せますか、交換ですか」は必ず聞かれます。一般的な目安を書いておきますが、最終判断はガラス業者の現物確認によります。
- 修理(リペア)で済むことが多い:傷が小さく、運転席の正面から外れていて、ひびが伸びていない状態。樹脂を流し込んで広がりを止める処置です
- 交換になりやすい:ひびが伸びている、傷がガラスの縁に近い、運転席の視界の中央にある、傷が複数ある
- 時間が経つほど交換に寄る:小さな傷でも、温度差や振動でひびは伸びます。「今なら修理で済む」が、放置で「交換しかない」に変わります
修理は費用も時間も交換とは桁が違います。気づいた時点で見てもらうのが、結果的にいちばん安く済みます。
車両保険で直せる場合があります
飛び石によるガラスの損傷は、車両保険の対象になることがあります。
ただし、使うと等級が下がって翌年以降の保険料が上がるため、修理費と保険料の増加分を比べて判断する必要があります。修理で済む金額なら自費、交換で高額になるなら保険、という分かれ方が一般的です。
等級がどれくらい下がり、何年で戻るかは自動車保険の等級の仕組みで解説しています。保険を使うか迷ったら、先に保険会社に「使った場合の翌年の保険料」を聞いてから決めてください。
まとめ
- 飛び石の小さな傷は、温度変化や振動でひび割れに広がることがある
- ひび割れは車検に通らない原因になる。車検前の早めの確認が安心
- 衝突被害軽減ブレーキ搭載車はガラス交換にカメラの再調整が必要で、15万〜20万円かかることも
- 数千円で済む修理のうちに直しておくのが、結果的に一番お得
フロントガラスの小さな傷、見て見ぬふりをしていませんか。次の点検やお出かけ前に、一度チェックしてみてください。
この記事を書いた人
シャカツ(中古車の買取・販売店で営業・4年目)
中古車の買取と販売を専門にする店で、査定、買取の交渉、販売、見積もり、納車、保険の案内まで担当しています。毎日のように実車を査定し、車を手放す場面と選ぶ場面の両方に立ち会っています。「知らなかっただけで損をする人」を何度も見てきたことが、このブログを始めた理由です。売る側・買う側どちらの本音も含めて、断定できないことは断定せずに書いています。


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