「保険の更新はがきを見たら、去年より保険料が上がっていた…」という経験はありませんか。実はその金額を左右しているのが「等級」という仕組みです。
事故を1回起こすと等級が下がり、保険料が高いままの状態が数年続くこともあります。現役の営業マンとして日々お客様の等級を確認している立場から、その仕組みと事故後の影響をわかりやすく解説します。
等級とは?1〜20等級と割引率の仕組み

自動車保険(任意保険)の「等級」は、1等級から20等級まであるランク制度です。数字が大きいほど割引率が高くなり、20等級では保険料が60%前後まで割り引かれるのが一般的です(割引率は保険会社により多少差があります)。
新規で任意保険に加入すると、多くの場合6等級からのスタートになります。そこから1年間無事故で契約を継続すると、翌年に1つ等級が上がる仕組みです。
自分の今の等級がわからないときは、保険証券や契約内容のお知らせ、更新案内ハガキの「等級」欄で確認できます。手元にない場合は、契約している保険会社や代理店に問い合わせれば教えてもらえます。
等級だけでなく「事故有係数適用期間」という、もう一つの仕組みもセットで覚えておくと理解が早まります。この期間中は同じ等級でも保険料が高く計算されます。詳しくは次の章で説明します。
事故を起こすと何等級下がる?3つのパターン

ひとくちに「事故」と言っても、保険を使った場合の等級への影響は事故の種類によって変わります。営業マンとしてお客様によく説明する分類は次の3つです。
- 3等級ダウン事故:相手の車や物にぶつけた、自損事故で車両保険を使ったなど、一般的な事故はこのパターンです。
- 1等級ダウン事故:盗難、台風・洪水、落書き、いたずらなど、自分の過失がほとんどない事故で車両保険を使った場合です。
- ノーカウント事故:人身傷害保険や弁護士費用特約だけを使った場合は、翌年の等級に影響しません。
同じ「保険を使った」でも、どの特約を使ったかで翌年の等級が変わる点は、お客様が意外と知らないポイントです。
| 事故の種類 | 等級への影響 | 具体例 |
|---|---|---|
| 3等級ダウン事故 | 翌年3つ下がる | 対人・対物・自損の車両保険利用 |
| 1等級ダウン事故 | 翌年1つ下がる | 盗難・台風・いたずら |
| ノーカウント事故 | 変わらない | 人身傷害・弁護士費用特約のみ |
自損事故を起こしたときの対応については、車をぶつけたときの初動|自損でも警察への連絡は必要でも詳しく解説しています。事故直後は気が動転しがちですが、まずは落ち着いて安全確保と警察への連絡を優先しましょう。
等級が下がると何年”戻らない”のか

ここが一番誤解されやすいところです。3等級ダウン事故を1回起こすと、翌年から等級の数字自体は毎年1つずつ回復していきます。ですが、それとは別に「事故有係数適用期間」が3年間つくため、同じ等級でも無事故の人より割引率が低く計算される期間が続きます。
たとえば20等級無事故だった方が3等級ダウン事故を1回起こすと17等級になります。その後3年間無事故を続けても、17等級・18等級・19等級それぞれの年で「事故有」の割引率が適用されるため、事故なしでずっと20等級だった場合に比べて保険料が高い状態が続くわけです。
「等級が3つ下がった=3年で元に戻る」ではありません。事故有係数適用期間の3年間は、等級の数字が回復しても保険料は元の水準より高いままです。一般的には、この期間の保険料負担の増加分は決して小さくありません。
この「事故有」の期間中でも、保険会社によって保険料の差が大きく出ることがあります。一括見積もりで比較してみると、同じ条件でも数万円単位の差が見つかるケースも珍しくありません。
一括見積もりを実際に使ってみた体験談は、自動車保険の一括見積もり|デメリット5つと月2000円下がった話にまとめています。等級ダウン後の保険料が気になる方は参考にしてみてください。そもそも今の保険がディーラー経由(代理店型)だと、等級ダウン後の値上がり幅も含めて割高になりやすい仕組みがあります。ディーラーの自動車保険は高い?営業マンが仕組みから正直に話しますで、その理由を代理店型とダイレクト型の違いから解説しています。
保険を使うか自費で直すか。等級を守るための判断基準

一般的には、見積もりを取った修理費と、3等級ダウンした場合の3年間の保険料増加の見込み額を比べて判断するのが現実的です。金額次第では、保険を使わない選択も十分にありえます。判断に迷ったときは、保険会社や代理店に「保険を使った場合と使わない場合の見込み保険料」を確認してから決めるのが確実です。
また、もらい事故のように自分の過失が低いケースでは、相手との過失割合の証明が等級や保険料に影響することがあります。ドライブレコーダーの映像が過失割合の交渉で役立つ場面は少なくありません。特に前後2カメラタイプなら、追突・後方からの当て逃げにも対応できます。
等級を守るためにできる工夫としては、次の3つを意識しておくとよいでしょう。
- 軽い傷は保険を使う前に、まず保険会社や代理店に「使った場合の見込み保険料」を聞いてから判断する
- もらい事故で自分の過失がほぼゼロなら、等級に影響しないケースもあるため、事故状況を記録に残しておく
- 車を乗り換えるときも等級は引き継げる(多くの場合、解約から7〜13ヶ月以内が目安)。乗り換え時は等級の引き継ぎ手続きを忘れずに
保険の見直し全体については、自動車保険の見直し|毎年やるべき5つの確認ポイントでもチェックポイントをまとめていますので、あわせてご覧ください。
- 自動車保険の見直し|毎年やるべき5つの確認ポイント — 等級以外の見直しポイントも解説
- 車をぶつけたときの初動|自損でも警察への連絡は必要 — 事故直後にやるべきこと
まとめ
- 等級は1〜20段階。新規は6等級スタートが一般的で、無事故なら毎年1つ上がる
- 事故には3等級ダウン・1等級ダウン・ノーカウントの3種類があり、影響が異なる
- 3等級ダウン事故のあとは「事故有係数適用期間」が3年つき、等級の数字が戻っても保険料はすぐには元に戻らない
- 修理費が小さい場合は、あえて保険を使わない選択も検討する価値がある
等級の仕組みを理解しておくと、事故後の判断も落ち着いてできるはずです。迷ったときは一人で抱え込まず、保険会社や代理店、そして担当の営業マンに遠慮なく相談してくださいね。
この記事を書いた人
シャカツ(中古車の買取・販売店で営業・4年目)
中古車の買取と販売を専門にする店で、査定、買取の交渉、販売、見積もり、納車、保険の案内まで担当しています。毎日のように実車を査定し、車を手放す場面と選ぶ場面の両方に立ち会っています。「知らなかっただけで損をする人」を何度も見てきたことが、このブログを始めた理由です。売る側・買う側どちらの本音も含めて、断定できないことは断定せずに書いています。


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