車をぶつけたときの初動|自損でも警察への連絡は必要

前部をぶつけて損傷した車 メンテナンス・トラブル対処

こんにちは。現役で車の営業をしている者です。お客様から突然かかってくる電話で、いちばん多いのがこれです。

「ぶつけちゃったんですけど、どうしたらいいですか」

声で分かります。頭が真っ白になっているんです。実際、事故の直後は誰でも冷静さを失います。だからこそ、順番を先に知っておくことに意味があります。

この記事では、ぶつけた直後にやることを、優先度の高い順に並べました。壁や縁石にこすった自損事故も含めて解説します。

最初の1分でやること(安全確保)

路肩に設置した停止表示板

順番を間違えないでください。相手や保険より先に、安全です

  • ①けが人の確認:自分と同乗者、相手。少しでも痛みがあれば救急に連絡する
  • ②ハザードを点ける:まず後続車に知らせる
  • ③安全な場所へ移動する:走れる状態なら路肩や駐車場へ。動かせないなら車内には留まらない
  • ④停止表示板や発炎筒を使う:特に高速道路では必須。車の後方に置く
⚠️ 高速道路では絶対に車内に残らない
高速道路上で停まった場合、車内や車のそばにいるのが最も危険です。ハザードを点け、停止表示板を置いたら、ガードレールの外側へ避難してください。後続車の追突による二次事故は、本当に起きます。
🧑
駐車場で壁にこすっただけでも、そこまでやるんですか?
👔
安全確保は状況次第です。ただ次の「警察への連絡」は、自損でも必要なんです。ここを飛ばす人がとても多い。

警察への連絡は自損でも必要

これが、いちばん誤解されているところです。

道路交通法では、交通事故があったとき、運転者には負傷者の救護・危険防止の措置・警察への報告が義務づけられています。相手がいない自損事故でも、報告の義務は変わりません

「自分の車だけだから」「誰にも迷惑をかけていないから」と、そのまま帰ってしまう方がいます。でもそれは、法律上も、保険の手続き上も不利になります。

交通事故証明書がないと、保険が使えないことがある

警察に届け出ると、後日交通事故証明書が発行されます。保険を使うときに必要になる書類です。

届け出をしていないと、この証明書が出ません。あとから「やっぱり車両保険を使いたい」となったときに、手続きが進まなくなります。

💡 営業マンのひとことメモ
その場では「たいしたことない」と思っても、あとから痛みが出たり、車の不具合が見つかったりすることがあります。届け出は数十分で済みますが、届け出ていない事故を後から証明するのは、ほぼ不可能です。迷ったら連絡してください。

相手がいる場合に必ず記録すること

事故直後にスマートフォンで連絡する

警察を待つ間に、スマートフォンで記録を残しておきます。あとで必ず効いてきます。

記録するもの なぜ必要か
相手の氏名・連絡先・住所 その場で口頭だけにしない。免許証を見せてもらう
相手の車のナンバー 写真で残す。連絡が取れなくなったときの手がかり
相手の保険会社名 保険会社どうしの連絡が始まる起点になる
双方の車の損傷部分 近距離と全体の両方を撮る。あとで追加されるのを防ぐ
現場の状況 信号、標識、路面、ブレーキ痕。過失割合の判断材料になる
⚠️ その場で示談・現金のやり取りをしない
「警察を呼ばずに、この場で払うから」と持ちかけられることがあります。絶対に応じないでください。あとから追加の請求が来ても対抗できませんし、けがが判明したときに何の裏付けも残りません。過失割合の判断は保険会社の仕事です。その場で「自分が悪い」と断言しないことも大切です。

そして、記録の話でいちばん強いのは、やはり映像です。言った・言わないの争いを一発で終わらせられます

機種の選び方はこちらの記事で詳しくまとめています。

保険を使うか、自費で直すかの考え方

板金塗装の作業風景

落ち着いたら、次はお金の話です。

ここで多くの人が勘違いしているのが、「保険に入っているから使ったほうが得」という思い込みです。

車両保険を使うと等級が下がり、翌年以降の保険料が上がります。一般的に、車どうしの事故など多くのケースは3等級ダウン、飛び石や盗難などは1等級ダウンとして扱われます。さらに事故有係数適用期間が付くため、その間は同じ等級でも割引率が下がります。

つまり、修理代が小さいほど、自費で払ったほうが総額で安く済む可能性が高いということです。

🧑
じゃあ、どうやって決めればいいんですか?
👔
保険会社に「使った場合、翌年以降いくら増えるか」を試算してもらってください。修理見積もりと並べれば、答えは自然に出ます。

なお、保険を使って等級が下がる年こそ、更新前に他社の金額を確かめておく価値があります。実際に一括見積もりを使うと何が起きるのか(営業電話は来るのか、どのくらい下がるのか)は、自動車保険の一括見積もり|デメリット5つと月2000円下がった話に書きました。

連絡自体は早めにしておくのが安全です。報告と、実際に使うかどうかの決定は別です。まず連絡し、試算をもらってから判断すれば問題ありません。

軽いこすりキズなら、自分で直せる範囲もある

塗装が剥がれていない浅い線キズや、樹脂バンパーの軽い擦り傷であれば、市販の補修用品で目立たなくできることがあります。ドアミラーのカバーのような外装部品は、車種別に取り寄せて交換できる場合もあります。

ただし塗装の下地(金属)が見えている場合はサビの入り口になるので、早めにプロに任せてください。

修理か乗り換えかで迷ったときの基準

損傷が大きいと、ここで悩む方が多いです。私がお客様に必ずお伝えしているのは、この考え方です。

修理代が、その車の今の価値を超えているなら、乗り換えを検討する価値がある。

年式が古い車ほど、この逆転が起きやすくなります。50万円かけて直しても、その車の価値が30万円なら、差額は戻ってきません。

もちろん、愛着や「まだ乗りたい」という気持ちは数字では測れません。ただ、判断材料として「今の価値」を知っているかどうかで、後悔の度合いは変わります

💡 営業マンのひとことメモ
修理してから売る、というのは基本的に損です。修理代ほど査定額は上がりません。乗り換えを少しでも考えているなら、直す前に「修理せずそのまま売った場合」の金額も聞いてみてください。両方の数字が並ぶと、判断は驚くほど簡単になります。

事故で保険を使うと等級が下がります。何年で戻るのかは自動車保険の等級とは?事故で下がると何年戻らないのかで詳しく書きました。

まとめ

  • 順番はけが人の確認 → ハザード → 安全な場所へ → 停止表示板
  • 高速道路ではガードレールの外へ避難する
  • 警察への報告は自損事故でも必要。交通事故証明書がないと保険が使えないことがある
  • その場で示談・現金のやり取りはしない。過失割合の判断は保険会社の仕事
  • 保険を使うかは、翌年以降の保険料の増加分と修理代を並べて決める

ぶつけてしまったこと自体は、もう変えられません。ここから先の判断で、損も後悔も減らせます。まずは深呼吸して、順番どおりに動いてください。

この記事を書いた人

シャカツ(中古車の買取・販売店で営業・4年目)

中古車の買取と販売を専門にする店で、査定、買取の交渉、販売、見積もり、納車、保険の案内まで担当しています。毎日のように実車を査定し、車を手放す場面と選ぶ場面の両方に立ち会っています。「知らなかっただけで損をする人」を何度も見てきたことが、このブログを始めた理由です。売る側・買う側どちらの本音も含めて、断定できないことは断定せずに書いています。

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